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S300MとS510Mは最大解像度設定にし、フラットベッドスキャナはS300MとS510Mと解像度を合わせた他は、オート設定にした。ScanSnapはデフォルトではPDF保存だが、JPEG保存も可能。ただし、この場合、カラー/白黒の自動判別機能をオフにしてカラーを設定しておく必要がある。
その旨がドライバの設定画面に表示されるのは非常に親切な仕様だが、実はもうひとつ、クイックメニュー設定を解除しておく必要がある。こちらはヘルプに入らないと記載されていないのは、ややちぐはぐな印象を受ける。 |
S300MとS510Mとフラットベッドスキャナを比較すると、さすがにディティールの甘さや、ノイズの多さ、原稿を移動させることによる限界はあるものの、全体の印象は意外と健闘(図21-23)。
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図21:クリックで拡大 |
図22:クリックで拡大 |
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図23:クリックで拡大 |
ただし、ここでもコントラストが高めのため、階調は飛びやすくグラデーション表現には不向き(図24-27)。
図24:カラーチャートを使用してチェック
微細なディティールはS510Mのほうがやや再現性が高いようだ。グラフィックとして再加工するにはシンドイが、写真ページの記録等としてなら十分に通用しよう。
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図25:クリックで拡大 |
図26:クリックで拡大 |
図27:クリックで拡大 |
S300MとS510Mの大きな違いに原稿搭載枚数(連続給紙枚数)がある。これは仕様上でも5倍の大きな差がある。ワタシは大学教員でもあるので頻繁に指定書式レポートをハンドリングするのだが、今回、これをPDF管理することを思いつき、実行してみた(図28)。
図28:大量のレポート書類をPDF化して管理
ポイントは作業の負荷と実用に耐えるPDFデータが得られるか、である。 連続給紙枚数は前述のように5倍の差があるが、読み取り速度でも約2倍の差がある。さらにその原稿入替の時間、手間を勘案するとトータルでの作業時間は体感的に3倍以上の差がついた。大量のデータを処理する場合にはS510Mの方がシャアザク並に速いのは機種選定の時に覚えておいた方がいいだろう。この大量のレポートは、鉛筆書きからシャープペン、ボールペン、と濃淡も様々だったが、連続処理にも関わらず、それぞれ実用的なレベルに自動露出されていたのはさすが。
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図29:状態の悪い原稿 |
図30:折り目がついている |
図31:ホチキスの跡 |
最後に、状態の悪い原稿での紙詰まりを試してみた。ホチキス止めされた原稿は、端に折り目もついた状態。ホチキスを外した部分は小さく持ち上がった状態。さらに1枚目はやや厚地の上質紙だが、それ以降はコピー用紙(図29-31)。
図32:ジャムが発生した状態
これをS300MとS510Mでそれぞれ5回づつオートスキャンを行ったところ、S300Mで1回紙詰まりを起こした(図32-33)。
図33:ジャム発生時のメッセージ画面
S510Mに較べ、S300Mは原稿挿入ラインが角度的に浅く、原稿が浮き上がりやすいかも知れない。 なお、詰まった原稿自体は簡単に取り除くことができ(図34)、コピー機等の紙詰まりに手を焼いた人間には非常に良くできているように思える。
図34:詰まった原稿の除去は容易
原稿の進行ルートが平坦に設計されているメリットだろうか。 散逸しがちなプリント類をまとめてPDF化しておくなど、日常的にドキュメントスキャナの使用用途は広い。 使いこなしに特別なスキルやノウハウの必要ない簡単なドキュメントスキャナはパーソナルユースには好適だ。S300MとS510Mに仕上がりデータの差は若干あるものの、トータルではどちらも十分に実用的なPDFが得られる。可搬性、サイズ、価格差もあるが、基本的には十数枚以上のスキャンを日常的に行うか否かで機種選定を行うのが良いだろう。 S510Mの売価が約2万円高いものの、Acrobat 8 Professionalが同梱されることを勘案すればかえって安いのだ。なお、Acrobat 9への同梱切換に関して問い合わせたところ、現在ではまだ未定との話だった。
続く
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協力:mono-logue
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