未成年者への急速な普及が進む携帯電話。特に最近ではスマートフォンへの利用意向が急増 しており、新たな被害の拡大についても懸念される中、デジタルアーツ株式会社が小学生4年生から中学生、高校生までの 男女を対象に未成年者の携帯電話の使用状況、インターネットやSNS等の利用、携帯電話や インターネット上でのコミュニケーションやトラブルなどについて調査を実施。今回の記者発表会となった。
デジタルアーツ株式会社 代表取締役社長 道具 登志夫氏
まず冒頭で、デジタルアーツ株式会社 代表取締役社長の道具 登志夫氏より挨拶があり、「13年前に国産で初めてフィルタリングソフトを開発し、PCのセキュリティに貢献してきた。特に、家庭向けには、パソコン、ゲーム機、テレビなどネット接続機器に標準搭載されるまでになった。しかし、それでもネットによるトラブルは起きており、その多くは携帯電話の利用によるものだった。2015年には1億台以上あるという携帯電話のうち7000万台以上はスマートフォンになると言われている。画面が大きく、世界中のアプリ、Webサイトに接続される事により、便利になる反面、特に未成年者への安全対策の必要性を感じている。今後、安全安心のスマートフォンとして普及する事を願っている。デジタルアーツも、安全安心のスマートフォンの普及の役に立ちたい」と同社の歴史と今後の社会的役割に関して思いを述べた。
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財団法人インターネット協会
副理事長 國分 明男氏 |
スマートフォン普及で未成年に迫る
携帯トラブルの最新事情を紹介 |
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続いて、財団法人インターネット協会 副理事長の國分 明男氏による「スマートフオン普及で未成年に迫る携帯トラブルの最新事情」と題した未成年者が遭遇した携帯電話のトラブルとスマートフォン普及による影響に関する考察と対策の解説があった。同氏によると、未成年のネットトラブルによる相談は、中2、中3あたりが多く、次いで、高校2年、小学校6年と続く。トラブルの内訳は、架空請求が149件(27%)で他を大きく引き離しての1位。次いで自分で書いた書き込みの削除方法がわからない(52件 12%)、第3位スパム・迷惑メール(41件 8%)等となっているという。トラブル対策として「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」によって18歳未満が携帯電話を購入、利用させる場合には、保護者が事業者に申し出なければならない義務が課せられている(ただし罰則規定はない)事を挙げ、フィルタリングソフトの利用が奨励されている事を紹介。しかし、フィルタリングだけでは万全ではなく、親からの「押しつけ」ではなく、自発的なルール作りとそれを守らせる環境が必要である事を強調。最後に、未成年者の携帯電話の利用に際してはまだまだフューチャーフォン、子供向け携帯電話の割合が多いが、高校生を中心にスマートフォンの割合が近年増えてきており対策が必要であると言う見解が表明された。
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デジタルアーツ株式会社 経営企画室
広報・コーポレートマーケティング担当
吉田明子氏 |
スマートフォン普及で未成年に迫る
携帯トラブル最新事情
小、中、高校生1,200人への最新意識・実態調査 |
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続いて、デジタルアーツ株式会社 経営企画室 広報・コーポレートマーケティング担当 吉田明子氏より、携帯電話を使用している小中高校生1,200人を対象にインターネットで行った調査結果の発表があった。同調査によると、被害児童の99%はフィルタチングを利用していない事や、有害サイトが年々巧妙化しており、非出会い系サイトでの被害件数が増えてきている事例を紹介、フィルタリングの必要性を訴えた。
小中高生のスマートフォン利用は、全体の14.4%だが、高校生では26.5%と4人に1人はスマートフォンユーザであることが伺える。反面、携帯電話のルールに関しては、中学生以下は8割以上が何らかのルールがあるのに対して、高校生では3割以下に激減。フィルタリングソフトの利用も全体では40%以上(小学生で39.3%、中学生で46.6%)に対して高校生では35.7%と低くなっている。
特に、スマートフォンユーザのトラブル経験や有害サイトの閲覧率に関しては、非スマートフォンユーザに対して倍以上の数値が出ていると言うレポート結果に関しては、会場の記者からも数値の根拠や内訳などの詳細を求める声が相次いだ。スマートフォンと一口に言っても、AndroidやiPhone、WindowsPhoneなどではセキュリティ対策の機能も異なり、OSのバージョンによっても傾向が異なる中スマートフォンで一括りにできるかどうかという疑問もある。
それに対してデジタルアーツの吉田氏は、今回の調査でのスマートフォンユーザのサンプリング数が少ないため、傾向として表明するのはやや難しい面もあり、来年以降母数が増えてゆく段階で見えてくるのではないかと言う説明がなされた。 また、スマフォならでは、のトラブルは見いだせなかったという。啓発活動に関しては、業界全体では、インターネット協会と一緒に、デジタルアーツ単体では、教育委員会やPTAと一緒に学校や保護者向け啓発活動を行っている。今後に関しては今回発表するTVCMなどを行う事で、フィルタリングや家庭ルールの作成などの啓蒙をして行くとの事。 財団法人インターネット協会の國分氏からは、スマートフォンユーザの多くは高校生で、好奇心が旺盛な時期でもあり、その中でスマートフォンを選ぶ層は、よりインターネットの利用に積極的で、好奇心も強いために今回のような傾向が見られるのではないかと言う見解を述べた。
また、同氏は、フィルタリングは、悪いものを遮断するという意味合いが強く、もっともっと好意的にとらえてもらいたいと必要性を説く一方、楽しいフィルタリング?が見いだせると普及に拍車がかかると思うと今後の啓蒙への期待を語った。
最後に、代表取締役社長の道具氏からの捕捉があり、今回の調査では、スマートフォンユーザの大部分は高校生で、フューチャーフォンユーザにおいてもルールが設定されてない割合が多いなどそもそも対策をしない傾向があると言う事、今後スマートフォンがより低年齢層に普及する事で傾向も変わってくるのではないか。今回スマートフォンと他の携帯電話での数値の差は、利用層の差によるものが影響している可能性は否定できない。とはいえ、高校生に対してルール設定が不要かと言うとそうではなく、高校生に対してのルールの必要性はアピールしてゆきたい。今後OSのバージョンアップなどでスマートフォンのセキュリティが強化されても、日本語独自の問題、精度の差というのもあり、日本専用のフィルタリングが必要とされるだろうという意向、見解も示された。 |