株式会社モリサワ東京本社にて「電子書籍ビジネスソリューション iPhone小説編」と題したiPhoneアプリによる小説出版ソリューションの事業者向け説明会が開催されました。
まず、株式会社モリサワの森澤 彰彦社長による挨拶があり、今回の説明会開催の趣旨が述べられました。森澤氏によると、最近、電子書籍をとりまく環境が活性化してきており、電子書籍ソリューションをJAGATで紹介したところ、予想以上に多くの反響を頂いたので、今回補足説明会を開催したとのこと。海外ではキンドルなどの電子書籍ソリューションも盛況だが、日本では、携帯、スマートフォンの市場も見込めるので期待しているというメッセージがありました。
電子書籍デバイスの紹介と市場説明として、読書専用端末、SONYなどのデバイスは全て撤退したが、Amazonのキンドルは伸びてきており、また、日本勢も復活の兆しが見られる。そして、スマートホン、携帯電話とくに、スマートホンは増えてくる傾向にあると分析しており、iPhoneの伸びが著しいことに着目。iPhoneは全世界で3000万台以上、国内でも200万台以上と推察されており、iPod touchを含めると全世界で5,000万台以上の端末が販売されて居る事は、電子書籍の端末としても魅力的な市場であると認識している。
ここで会場の参加者にiPhone/iPod touchの所有率をヒアリング、1/3ほどの参加者が挙手。
iTunes Storeには、iPhone用アプリを販売するApp Storeがあり、カテゴリーには「電子書籍」ジャンルも既にある。iPhoneアプリ10万本以上、App StoreでDL可能で電話回線でDL可能。20億本以上のDL実績がある。音楽と同様、iTunes Storeでカード、iTunesCard(プリペイドカード)で購入可能。PCでもiPhoenでも可能で、タップするだけで簡単に購入する事が出来る。
iPhoneアプリ(印刷業界に関するもの)では、コミック、写真集、雑誌関連、新聞関連、辞書関連などがあるが、小説はまだ出ていない。雑誌も新聞も「画像」での閲覧でしかない。辞書関連では大辞林が一番売れているだろうと思われるが、単価2,500円(書籍は8,190円)と安価。アプリとしては高価だが、よく売れているらしい。1億以上売り上げているのでは?
iPhoneアプリでビジネスするには、iPhone Developer Programの加入が必要。売り上げの手数料は、アプリの売価の30%がアップル分で、残りがサプライヤーに支払われる。iPhoneアプリは、全世界が対象、販売者が利用できる国を設定できる。
電子書籍市場の分析。電子書籍市場は右肩上がり:2008年度売り上げは464億円前年度比31%増。内訳コミック70%写真集18%なので、文字物はまだ可能性ある。文字がでないのはなぜか?コミックや写真集のように販売数が読めない、電子出版の作業工数大なので採算が合わない場合が多い。
それを解決するソリューションとしてモリサワのソリューション。InDesignやMC-B2のデータを「オーサリングツール」によってiPhoneアプリへ変換する事が可能。主なコンテンツは小説を想定している。将来的にアンドロイド向けに出す可能性もある。
コンセプトは、「簡単」オーサリングツールにて簡単に変換。見やすさにこだわった。文字を文字として表現、組版エンジンを搭載、フォントの変更可能、文字サイズの変更可能、ルビのON/OFF、横組も可能。文字の検索、不明語句の検索、調査も可能。ビジネスモデルはまだ社内調整が着いていないが、安価または無料で制作会社へ提供したい。iPhoneアプリの売り上げ(制作会社の取り分70%)のうちの数%をツール利用料として徴収するようなモデルを想定している。